東京国際フォーラム
UIA2011東京大会 第24回世界建築家会議
〜建築を通して、人と知り合い、災害に向き合い、未来と出合う〜

UIA2011東京大会 第24回世界建築家会議

9月25日から10月1日までの間、当館で世界最大級の建築イベント「UIA2011東京大会(第24回世界建築家会議)」が開催されました。 世界中の建築関係者が一堂に会するこの大会は、3年に一度、世界の各都市で開かれて今回は24回目を迎えますが、日本で開催されるのは初めて。
同大会の事務局長を務められ、企画・運営に多忙な日々を過ごされた萩原廣一さんに、この大会を振り返っていただきながらお話を伺いました。

萩原廣一氏 UIA2011 東京大会
日本組織委員会
事務局長 萩原廣一氏
UIA2011TOKYO UIA(国際建築家連合)は1948年にローザンヌで設立された世界の建築家や団体で構成される唯一の国際団体。現在124の国と地域から140万以上の建築家と約50万人の学生が加盟。
本大会を終えて、どのようなご感想をお持ちですか?

かつて都庁舎の跡に建設中の東京国際フォーラムの様子を1年以上眺めていたことがあります。そのときから、いつかここで自他ともに誇るべき国際的コンベンションを手がけてみたいと思っていました。当時からの思いがつまった場所で、今回、世界有数のコンベンションであるUIA大会を開催でき、さらに海外からも多くの方に参加していただけたので、満足というより安堵しています。


本大会には大体どのくらいの人が訪れたのでしょうか?

事前に登録して講演やセミナー、プレゼンテーションなどに参加されたのは、およそ110カ国から約5,100人。そのうち約1,900人は海外からの参加者で中国、韓国からの方が目立ちました。参加登録される方はほとんどが建築関係者ですね。そのほかに市民向けのプログラムも用意したので、展覧会やイベントなどには一般の方もたくさん来場してくださいました。登録参加者と一般の来場者を合わせれば、ゆうに1万人は超え、数えきれません。


今回のテーマは「DESIGN2050 -災害を克服し、一丸となって、接続可能な未来へ-」ということでしたが、UIA2011東京大会の開催にはどのような意義があったとお考えでしょうか?

大会を目前に未曾有の被害をもたらした東日本大震災が発生しました。開催の可否自体についても何度も議論しましたが、最終的にはいまこそ災害にしっかり向き合うべきだという結論に至りました。もともとこの大会は2050年のあるべき未来像を描き出そうということで「DESIGN2050」というテーマを掲げていましたが、大震災の後、仕切り直しの議論の中で「災害を克服し、一丸となって、持続可能な未来へ」という副題を追加しました。その結果、抽象的だったテーマが具体的に直通する課題に向けたものへと変貌しました。世界中の建築関係者にとって、災害はどこの国でも起こりうるもので、私たちは常に災害と対峙し乗り越えていかなければならないということを、現実的に考えるきっかけになったと思います。

本大会の成果というと、どんなことがあげられますか?

これはもう人によって様々ですが、3.11を日本が経験し、技術と知恵のかたまりとも言うべき建築物が、大地のひとゆれにかくも弱いことが明白になりました。そういう意味で建築家はただ建築物をつくるだけでなく、建築物を使う人々の生活を、さらには建築物を取り巻く社会全体までをも視野に入れて建築と向き合わなければならないことが、各国の人にも明らかになったといえましょう。これからの建築家のあるべき姿と現実との距離とがクローズアップされたのは、成果のひとつではないかと考えています。

建築家の魅力を一般の方にひろくアピールするための展覧会やイベントも各所で実施されましたが、手応えはいかがでしたでしょうか?

建築と市民の接点をつくりたいという思いから、さまざまな展覧会やイベントが実施されました。公開プログラムとして企画した安藤忠雄さんの講演も、その取組のうちのひとつです。このプログラムには6,500人にのぼる方にご来場いただきました。5,000人収容のホールAだけでなく、ホールCもサブ会場として映像・音声でつないで対応しました。また、3.11をふまえたテーマセッションとして、市民に向けた公開プログラムも用意しましたが、来場者は建築関係者が多く、もう少し一般の方にもいらしていただきたかったです。海外からの参加者向けには、日本の伝統的な建築技術の実演紹介もあり好評でした。このように一般の方に純粋に楽しんでいただけたものもありましたが、今一歩と反省すべきものもあり、建築と市民の間にはあと少し埋めるべき距離があるなと感じさせられることもありました。手応えの中にも、克服すべき課題を見出すことも出来た結果でありました。


学生や若手の建築実務者を対象とした国際ワークショップなどもありましたが、その企画への期待を教えてください。


世界中の建築に携わる若者に国際交流のきっかけを提供したいとの企画です。安藤忠雄さんも公開プログラムの講演でおっしゃっていましたが、建築家はCADと向き合うだけでなく、世の中に出て人と交流しないと本当の意味でいい建築物は残せないと。まさにその通りだと思います。残念ながら日本の若者の参加が思っていたほどではなかった。将来のことを思うとやや心配です。それでも今回のワークショップに参加した若者が、10年後、20年後、この大会で建築家としても人間としても飛躍のきっかけとなったと感じてもらえるとうれしいですね。

UIAが建築技術の応用についての功績を認めた建築家に授与する「オーギュスト・ペレ賞」を坂 茂さんが受賞されました。これは日本にとってうれしいニュースだと思うのですが、どのように感じていらっしゃいますか?

現在、世界の建築界では、日本人建築家のデザインが高く評価されているようです。軽いというのか、柔らかいというのか、日本人ならではの流麗なデザインが世界を席巻しています。坂さんの受賞は、そういうこととは別に、坂さんは神戸の被災地において仮設教会の設計など、被災地での活動をもライフワークにされています。被災地でのプライバシー確保の工夫など、3.11後の建築家の活動として新たな視点からの評価だと思います。

今回、東京国際フォーラムを利用されてみて、どのような印象をお持ちになりましたか?

設備が整っているので、今回、天皇皇后両陛下の御臨席をいただいたように、厳重な体制で行なう開会式なども滞りなく運営できました。あとはやはり建築デザインが素晴らしい。とくにガラス棟は非常に斬新な空間ですから、海外から参加した方々もみんな喜んでいろいろなところから写真を撮っていました。また、東京国際フォーラムは近代的な建物でありながら、気軽に利用できるコンビニやカフェなども営業している。この親しみやさすさも魅力のひとつですね。

東京国際フォーラムは、UIA認定国際設計競技の結果選ばれたラファエル・ヴィニョーリ氏の設計によるものです。


次回のUIA大会は2014年に南アフリカ共和国のダーバンで開催されるそうですが、東京大会は今回どのような役割を果たしたとお感じでしょうか?

ダーバンのUIA大会では“連帯”をキーワードにすると明言してくれました。東京大会で掲げた「DESIGN2050 -災害を克服し、一丸となって、持続可能な未来へ-」というテーマがしっかり伝わり、“連帯”というキーワードに結実したのではないかと思っています。おこがましいことは言えませんが、建築家はいま本当にたくさんの問題に目を向けなければいけない時代になっている。いろいろなものやことと“連帯”しながら経験を積み自分のなかに取り込んでいかないと、世の中に役立つ建築はできないということを浮き彫りにし、且つ次の大会へしっかりとバトンを渡せたのではないでしょうか。

最後に、印象的だったことなどあれば教えてください。

ブータンの首相であるジグメ・ティンレーさんに基調講演をしていただきました。その講演のなかで建築家を刺激する問いかけをされていました。建築家は、環境に対する責任、つまり生きとし生けるもの全ての将来に対する責任を担って建築物をつくっているか?自然を攻撃するような建築物をつくっていないか?人類を破滅させる建築物をつくっていないか?そのような挑発とも祈りともいえるそれらの問いかけにどう答えるか。それが、これからの建築家の宿題かもしれないですね。

■開催概要

名称 UIA2011東京大会 第24回世界建築家会議
公式サイト http://www.uia2011tokyo.com/
会期 2011年9月25日(日)〜10月1日(土)
メイン会場 東京国際フォーラム / 丸の内地区 / 日本橋地区
主催 国際建築家連合(UIA)/ UIA2011東京大会 日本組織委員会(JOB)
来場者数 延べ1万人以上
東京国際フォーラムでの施設使用状況 ホールA 、ホールB5、ホールC、ホールD7、ホールD5、ホールD1 展示H(全面)、ガラス棟会議室、地上広場、ロビーギャラリー、ラウンジ

■お問合せ先

お問合せ先 UIA2011東京大会 日本組織委員会(JOB)事務局
TEL 03-5411-7271
E-mail contact@uia2011tokyo.com